子どもの日焼け止め+虫除けの兼用は本当に効く?正しい使い方と注意点
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子どもの日焼け止め+虫除けの兼用は本当に効く?正しい使い方と注意点

公開: 2026年5月3日 更新: 2026年5月3日

「日焼け止めと虫除けを一緒に塗るのは面倒。兼用製品があれば楽なのに」――夏の外出準備で、こう感じている保護者の方は多いでしょう。実際に市販では「UV+虫除け」を謳った兼用製品が販売されています。

しかし結論から言うと、日焼け止めと虫除けの兼用製品は、どちらの効果も完全には発揮されないケースが多く、専門家の多くは別々に使用することを推奨しています。

この記事では、日焼け止めと虫除けの兼用製品の有効性と問題点、別々に使う場合の正しい順番、子どもへの虫除け剤(DEET・イカリジン)の安全性を、小児科専門医・アレルギー専門医の立場から解説します。

まず知っておきたい結論

  • ⚠️ 兼用製品はどちらの効果も完全ではない: 「日焼け止め+虫除け」の兼用製品は便利ですが、それぞれ単独製品の効果には劣る傾向がある
  • 🧴 理想は別々に使用: 日焼け止めを先に塗り、その後に虫除けを塗るのが効果的
  • 🌿 イカリジン(ピカリジン): 日本で広く使用されている比較的安全性の高い虫除け成分。生後6か月以上で使用可能
  • 🚫 DEET(ディート): 効果は高いが、乳幼児への使用に制限あり(12か月未満は禁忌、12か月〜12歳は1日1回まで等)
  • ✅ 虫除けは衣服の上から塗れる部位のみ。目周囲・口の周り・傷のある部位には塗らない
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兼用製品の問題点

なぜ兼用製品は効果が落ちるのか

日焼け止めと虫除けはそれぞれ異なる目的を持ち、最適な使い方が異なります:

塗り直しの頻度が異なる:

  • 日焼け止めは2〜3時間ごとの塗り直し推奨
  • 虫除けは有効成分によるが4〜8時間効果が続くものもある
  • 兼用製品で日焼け止めの効果を維持しようとして頻繁に塗り直すと、虫除け成分が過剰になる

成分の相互作用:

  • 日焼け止め成分と虫除け成分が混在することで、それぞれの安定性・効果が低下する場合がある
  • 特にDEETはSPFを低下させる(サンスクリーン成分を分解する)ことが報告されている

塗る量・使い方が異なる:

  • 日焼け止めは必要量(1cm²あたり2mg)を均一にたっぷり塗ることが重要
  • 虫除けは衣服で覆えない露出部に薄く塗る程度が基本

📋 エビデンス

米国小児科学会(AAP)は、日焼け止めと虫除けの兼用製品について「SPFが低下する可能性があり、虫除け成分の過剰塗布につながる可能性もある」として、別々の製品を使用することを推奨しています。

出典: Insect Repellents: Information for Parents — American Academy of Pediatrics ↗

日焼け止めと虫除けを別々に使う場合の順番

別々に使う場合は日焼け止めを先に塗り、その後に虫除けを塗ることが基本です。

推奨手順:

  1. 外出15〜30分前に日焼け止めを肌に塗る
  2. 日焼け止めが肌になじんだら(5〜10分後)虫除けを露出部に薄く塗る
  3. 途中で日焼け止めの塗り直しをする場合は、虫除けを先に拭き取らず、日焼け止めを上塗りする形でよい
  4. 外出後は日焼け止め・虫除けを石けんと水でしっかり洗い流す

逆順にしない理由: 虫除けを先に塗ると、その上に日焼け止めを塗った際に虫除け成分と日焼け止め成分が混じり合い、どちらの効果も不安定になる可能性があります。

子どもへの虫除け剤の種類と安全性

イカリジン(ピカリジン)

📋 エビデンス

厚生労働省はイカリジン(ピカリジン)について、生後6か月以上の乳幼児への使用が可能としています。DEET(ディート)と比べて皮膚刺激性が低く、樹脂・プラスチックを傷めないという特徴があります。

出典: 厚生労働省 虫よけの使用について ↗

特徴:

  • 生後6か月以上から使用可能
  • DEETと比較して皮膚刺激性が低い
  • 無臭(DEETのような独特の匂いがない)
  • プラスチック・樹脂製品を傷めない

代表的な製品: スキンベープ プレミアム(イカリジン15%)、パーフェクトポーション(イカリジン)など

濃度と効果時間:

  • イカリジン10%程度: 蚊に対して4〜8時間程度の効果
  • 乳幼児には低濃度製品から試すことを推奨

DEET(ジエチルトルアミド)

特徴:

  • 虫除け成分として最も長い使用実績がある
  • マダニ・蚊・ブユ・サシバエなど広範囲の害虫に有効
  • 高濃度ほど効果時間が長い

📋 エビデンス

CDCはDEETについて、12か月未満の乳児への使用は禁忌、生後2か月〜(日本では生後12か月以上)12歳未満は1日1回の使用、30%以上の濃度製品は使用しないとしています。

出典: DEET Safety — Centers for Disease Control and Prevention (CDC) ↗

日本での注意事項(厚生労働省):

  • 生後12か月未満: 使用禁止
  • 生後12か月〜2歳未満: 1日1回まで
  • 2歳〜12歳未満: 1日1〜3回まで
  • 濃度: 子どもには低濃度(5〜10%程度)を推奨

DEETの注意点:

  • 特有の匂いがある
  • プラスチック・合成繊維・時計のバンドなどを傷めることがある
  • 皮膚刺激性がイカリジンより高め
  • 使用後は手洗い(手に塗った場合)、入浴時に洗い流す

天然由来成分の虫除け

ハッカ油・シトロネラ・ユーカリプトスレモン(PMD)などの天然成分を使用した虫除けも市販されています。

注意点:

  • 天然成分でも皮膚刺激性・アレルギー反応の可能性があります
  • 効果時間はDEATやイカリジンより短いことが多い
  • 乳幼児への使用では成分の安全性を個別に確認することが推奨されます
  • 特にユーカリやメントール系は乳幼児(特に3か月未満)への使用は避ける

虫除けの正しい使い方

塗る部位

塗ってよい部位:

  • 顔(目・口・鼻周囲を避けて。子どもの顔には手のひらで保護者が塗る)
  • 腕・手(手のひらには塗らない。目や口を触る可能性があるため)
  • 足・足首・膝
  • 首(耳の下から)

塗ってはいけない部位:

  • 目の周り・口の周り・鼻の中
  • 子どもの手のひら(目や口に触れるため)
  • 傷口・湿疹のある部位
  • 日光に当たりやすい顔(塗ったとしても目周囲は特に注意)

注意事項

  • 衣服の下には塗らない: 衣服で覆われた部位に塗ることは不要で、成分の吸収が増える可能性があります
  • 必要最小限の量を使う: 薄く塗布する程度で十分。たっぷり塗ることは推奨されません
  • 子どもへは保護者が塗る: 子ども自身が塗ると目や口に入るリスクがあります
  • 帰宅後は洗い流す: 外出後は石けんと水でしっかり洗い流してください

よくある質問

Q1: 「UV+虫除け」兼用スプレーはまったく使えないのですか?

A: 「まったく使えない」わけではありません。短時間の外出・手軽さを優先する場面では兼用製品の選択もあります。ただし、UV防御・虫除け双方に最大限の効果を求める場面(海水浴・蚊の多い公園での長時間遊び等)には別々の製品の方が適しています。

Q2: 子どもにイカリジンとDEETはどちらが安全ですか?

A: 乳幼児にはイカリジンが一般的に推奨されます。生後6か月以上から使用可能、皮膚刺激性が低い、樹脂製品を傷めないという特性があります。DEETは生後12か月未満は使用禁止、12か月以降も使用回数制限があります。

Q3: 日焼け止めを2〜3時間ごとに塗り直す場合、虫除けも一緒に塗り直さないといけませんか?

A: 日焼け止めの塗り直し時に虫除けを一緒に塗り直す必要はありません(虫除けは4〜8時間程度効果が持続するものも多い)。日焼け止めの上から上塗りする形で問題ありません。

Q4: 天然の虫除けハーブ(ラベンダー・ハッカ)は赤ちゃんに使えますか?

A: 赤ちゃん(特に6か月未満)への精油・ハーブ成分の使用は推奨されていません。ラベンダー・ハッカ(ミント)・ユーカリ等は「天然」でもアレルゲンを含み、皮膚刺激や神経系への影響が報告されています。乳幼児への使用は避けることを推奨します。

Q5: 虫除けを塗った後に日光に当たっても大丈夫ですか?

A: 日焼け止めは先に塗ることが重要です(虫除けを先に塗るとSPFが低下する可能性があります)。正しい順序で使用すれば、日光下での虫除け使用自体は問題ありません。

まとめ

日焼け止めと虫除けの兼用について:

  • 兼用製品はどちらの効果も完全ではない: 便利さはあるが、本来の効果に劣る
  • 別々に使う場合は日焼け止め先・虫除け後の順番
  • 子どもへの虫除けはイカリジン優先(生後6か月〜)。DEETは乳幼児制限あり
  • 必要最小限の量を露出部のみに塗る
  • 帰宅後は石けんで洗い流す

虫除けと日焼け止め、どちらも子どもを守るための大切なケアです。それぞれ適切な製品を正しく使い分けることが最善の対策です。

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小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。

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