赤ちゃんの保湿剤の選び方ガイド|ローション・クリーム・ワセリンの違いと正しい塗り方
この記事の目次
- まず知っておきたい結論
- なぜ赤ちゃんに保湿が大切なのか
- 赤ちゃんの肌の特徴
- 保湿とアレルギー予防の関係
- 保湿剤の4つのタイプと特徴
- ローション(乳液タイプ)
- クリーム
- ワセリン
- 軟膏(油脂性基剤)
- 4タイプ比較表
- 保湿剤の成分の見方
- 代表的な保湿成分
- 赤ちゃん向け保湿剤で注意したい成分
- 成分表示の読み方のコツ
- 肌質・季節・部位別の選び方
- 肌質別の選び方
- 季節別の選び方
- 部位別の選び方
- 効果的な保湿剤の塗り方
- 塗るタイミング
- 適切な量の目安
- 塗り方のコツ
- 塗る順番(重ね塗りの場合)
- 赤ちゃんのスキンケアの基本ステップ
- 入浴時のポイント
- 入浴後のスキンケアフロー
- 処方薬の保湿剤と市販品の違い
- 代表的な処方保湿剤
- 市販品との使い分け
- 小児科医が選ぶ 赤ちゃんの保湿剤おすすめ6選
- よくある質問
- Q1: 保湿剤は1日に何回塗ればいいですか?
- Q2: 市販の保湿剤と病院の処方薬、どちらを使うべきですか?
- Q3: 赤ちゃんにワセリンだけ塗っていれば大丈夫ですか?
- Q4: 保湿剤を塗ったら赤くなってしまいました。どうすればいいですか?
- Q5: 生まれてすぐから保湿を始めたほうがいいですか?
- まとめ
- あわせて読みたい
- 参考文献
赤ちゃんの肌は、大人の肌と構造が違います。角層の厚さは大人の約半分。皮脂も生後3か月を過ぎると急激に減ります。つまり、バリアが薄く、乾燥しやすい。毎日の保湿はそのバリアを補う基本中の基本です。
外来でも「どの保湿剤がいいですか?」という質問は本当に多いです。ドラッグストアに行くと、ローション、クリーム、ワセリン、軟膏――種類が多すぎて迷いますよね。正直、わが家でも子どもが生まれたとき、棚の前でかなり悩みました。
この記事では、保湿剤の種類と違い、成分の見方、選び方、塗り方のコツまでまとめました。
まず知っておきたい結論
最初に結論をお伝えします。
- 🧴 保湿剤は「どの製品が一番」というものではなく、赤ちゃんの肌の状態・季節・部位に合わせて選ぶのが大切です
- ✅ 基本のスキンケアは「やさしく洗う → しっかり保湿する」の2ステップ
- 💡 日常的な保湿にはローションやクリームが塗りやすく、乾燥が強い部位にはワセリンや軟膏を重ねるのが効果的と考えられています
- ☝️ 保湿剤は「たっぷり」「こまめに」塗ることが重要で、塗り方ひとつで効果が大きく変わります
- 📋 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024でも、保湿剤によるスキンケアは治療の基本として位置づけられています1
以下、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
なぜ赤ちゃんに保湿が大切なのか
赤ちゃんの肌の特徴
赤ちゃんの皮膚は、大人と比較して以下のような特徴があります。
- 角層の厚さが大人の約半分: 角層は外部刺激から体を守るバリアの役割を果たしていますが、赤ちゃんではこのバリアが未熟です
- 皮脂分泌の変化: 生後2~3か月ごろまでは母体由来のホルモンの影響で皮脂分泌がやや多いものの、その後急激に減少します。生後3か月以降は「乾燥しやすい肌」に変化します
- 体表面積あたりの水分喪失が多い: 体が小さいため体表面積と体重の比率が大人より大きく、皮膚からの水分蒸散による影響を受けやすいとされています
- 天然保湿因子(NMF)の生成が未熟: 肌のうるおいを保つ成分の産生が十分でないことがあります
保湿とアレルギー予防の関係
2014年に国立成育医療研究センターの研究グループが発表した研究では、新生児期から保湿剤を塗布することでアトピー性皮膚炎の発症リスクが約32%低下したと報告されました2。
📋 エビデンス
新生児期からの保湿剤の塗布により、ハイリスク児のアトピー性皮膚炎発症リスクが約32%低下したことが、ランダム化比較試験により示されました。
出典: Horimukai K, et al. J Allergy Clin Immunol. 2014 ↗ただし、その後の複数の大規模研究では、保湿剤だけでアトピー性皮膚炎を予防できるかどうかについては一致した結論が得られていません。保湿剤の使用はあくまでスキンケアの基本として重要であり、「保湿剤を塗ればアトピーにならない」と断定できる段階ではないことも押さえておく必要があります。
それでも、皮膚のバリア機能を維持し、乾燥や外部刺激から肌を守るという意味で、日常的な保湿ケアは赤ちゃんの肌を健やかに保つための基本であることは、多くの専門家が一致して認めるところです。
保湿剤の4つのタイプと特徴
赤ちゃん・子ども向けの保湿剤は、大きく以下の4タイプに分けることができます。それぞれの特徴を理解しておくと、場面に応じた使い分けがしやすくなります。
ローション(乳液タイプ)
特徴と使い心地
ローションは水分を多く含み、さらっとした使用感が特徴です。伸びが良く、広い範囲にも塗りやすいため、全身の保湿に適しています。
- メリット: 塗りやすい、ベタつきが少ない、赤ちゃんが嫌がりにくい
- デメリット: 保湿の持続時間がクリームやワセリンに比べて短い傾向がある
- 適した場面: 春~夏の日常保湿、全身への塗布、保湿習慣をつけ始めるとき
ローションタイプは塗る際のストレスが少ないため、保湿ケアを始めたばかりのご家庭にとって取り入れやすい選択肢といえます。ただし、乾燥が強い時期や部位にはローションだけでは不十分なこともあるため、上からクリームやワセリンを重ね塗りする方法も有効です。
クリーム
特徴と使い心地
クリームは水分と油分のバランスが取れたタイプで、ローションよりも保湿力が高く、ワセリンほどはベタつきません。赤ちゃん向けの保湿剤としてもっとも幅広く使われているタイプのひとつです。
- メリット: 保湿力と使用感のバランスが良い、季節を問わず使いやすい
- デメリット: ローションに比べるとやや伸びにくいものもある
- 適した場面: 通年の全身保湿、軽い乾燥肌、日常のスキンケア
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024でも、保湿外用薬としてクリームタイプ(ヘパリン類似物質含有クリームなど)は広く使用されている剤型として記載されています1。
ワセリン
特徴と使い心地
ワセリン(白色ワセリン)は皮膚表面に油膜を形成し、水分の蒸発を防ぐ「エモリエント」としての機能に優れた保湿剤です。皮膚科や小児科で処方されることも多く、シンプルな成分構成が特徴です。
- メリット: 成分がシンプルでアレルギー反応を起こしにくい、コストパフォーマンスが高い、唇や口周りにも使用しやすい
- デメリット: ベタつきが強い、単独では水分を補給する機能がない(水分蒸発の防止のみ)
- 適した場面: 乾燥が強い部位のカバー、口周り・頬などよだれや食事で荒れやすい部位の保護、冬場の追加保湿
ワセリン自体は肌に水分を与える作用はありませんが、入浴後の肌にまだ水分が残っている状態で塗ると、水分を閉じ込める効果が期待できます。ローションやクリームの上から重ねて塗る「蓋をする」使い方も広く行われています。
ワセリンの種類
ワセリンにもいくつかのグレードがあります。
| 種類 | 純度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 白色ワセリン | 高い | 医療機関でもっとも一般的に処方される。赤ちゃんにも広く使用される |
| プロペト | より高い | 白色ワセリンをさらに精製したもの。眼科用軟膏の基剤にも使われる高純度品 |
| サンホワイト | 最も高い | プロペトをさらに精製したもの。敏感肌向け。医薬品ではなく化粧品分類 |
| 黄色ワセリン | やや低い | 精製度が低く、赤ちゃんへの使用にはあまり推奨されない |
赤ちゃんには白色ワセリンまたはプロペトが適していると一般的に考えられています。
軟膏(油脂性基剤)
特徴と使い心地
軟膏タイプは油脂を基剤としたもので、ワセリンよりもさらに保護力が高い製品があります。医療用の保湿外用薬として処方されるヘパリン類似物質の軟膏タイプなどがこれに該当します。
- メリット: 保湿・保護力が高い、刺激が少ない、傷のある部位にも使いやすい
- デメリット: ベタつきが強い、夏場は不快に感じることもある
- 適した場面: 乾燥の強い部位、皮膚が荒れている部位、冬場の保湿
4タイプ比較表
| 項目 | ローション | クリーム | ワセリン | 軟膏 |
|---|---|---|---|---|
| 水分補給 | 高い | 中程度 | なし | 低い |
| 油膜の保護力 | 低い | 中程度 | 高い | 高い |
| 伸びの良さ | とても良い | 良い | やや悪い | やや悪い |
| ベタつき | 少ない | やや少ない | 多い | 多い |
| 持続性 | 短め | 中程度 | 長い | 長い |
| おすすめの季節 | 春・夏 | 通年 | 秋・冬 | 秋・冬 |
| 塗りやすさ | とても塗りやすい | 塗りやすい | やや塗りにくい | やや塗りにくい |
保湿剤の成分の見方
赤ちゃん向けの保湿剤を選ぶ際、成分表示を確認することは重要です。ここでは、代表的な保湿成分と、注意したい成分について解説します。
代表的な保湿成分
保湿剤に含まれる成分は、大きく「モイスチャライザー(水分を保持する成分)」と「エモリエント(油膜で水分蒸発を防ぐ成分)」の2種類に分けられます。
モイスチャライザー系の成分
| 成分名 | 特徴 |
|---|---|
| セラミド(セラミドNP、セラミドAPなど) | 角層の細胞間脂質の主成分。バリア機能の維持に重要とされる。ヒト型セラミドが注目されている |
| ヘパリン類似物質 | 医療用保湿剤(ヒルドイドなど)の主成分。水分保持作用と血行促進作用がある |
| ヒアルロン酸Na | 高い保水力を持つ。肌表面にうるおいの膜を形成する |
| グリセリン | 吸湿性があり水分を引き寄せる。多くの保湿製品の基本成分 |
| 尿素 | 角質軟化作用がある。ただし刺激を感じることがあり、乳幼児には注意が必要 |
| アミノ酸系成分(PCA-Na等) | 天然保湿因子(NMF)の構成成分。肌なじみが良い |
エモリエント系の成分
| 成分名 | 特徴 |
|---|---|
| ワセリン(パラフィン) | 皮膚表面に油膜を形成し水分蒸発を防ぐ。刺激が少ない |
| スクワラン | 皮脂にも含まれる成分。肌なじみが良く、軽い使用感 |
| シアバター(シア脂) | 保護力が高い。やや重めの質感 |
| ホホバ油 | 皮脂と構造が似ており肌なじみが良い |
| ミネラルオイル | 安定性が高く、アレルギーリスクが低い |
赤ちゃん向け保湿剤で注意したい成分
赤ちゃんの肌はバリア機能が未熟なため、大人よりも成分による刺激を受けやすいと考えられています。以下の成分については知っておくと安心です。
- 香料・着色料: 刺激やアレルギーの原因になることがあるため、できるだけ無添加のものが望ましいとされています
- アルコール(エタノール): 揮発時に肌の水分を奪い、乾燥やヒリヒリ感の原因になることがあります
- 尿素: 角質軟化作用がありますが、赤ちゃんの薄い肌には刺激が強すぎることがあります。特にかき傷がある場合はしみることがあるため、乳幼児への使用は慎重にすべきと考えられています
- パラベン類: 防腐剤として使われますが、敏感な肌には刺激となることがまれにあります。ただし、パラベンフリーだからといって安全とは限らず、代替の防腐剤にも注意が必要です
- 植物エキス・精油: 「天然由来」であっても、植物成分はアレルギー反応を引き起こすことがあります。「天然だから安全」とは限らない点に注意が必要です
成分表示の読み方のコツ
日本の化粧品は「全成分表示」が義務づけられており、成分は配合量の多い順に記載されています(配合量1%以下は順不同)。以下のポイントを押さえておくと、成分表示が読みやすくなります。
- 先頭に「水」がくるのは普通: 化粧品の大部分は水が基剤です
- 保湿成分がどのあたりに記載されているか: セラミドやヒアルロン酸が記載されていても、成分表の後ろのほうにある場合は配合量が少ない可能性があります
- 成分数が少ないほどシンプル: 赤ちゃんの肌には、余計な成分が少ないシンプル処方が適していると考えられています
肌質・季節・部位別の選び方
肌質別の選び方
乾燥肌(カサカサが目立つ)
乾燥が気になる赤ちゃんには、クリームタイプを基本にするのが良いでしょう。特に乾燥が強い部位には、クリームの上からワセリンを重ねて蓋をする方法が効果的です。セラミドやヘパリン類似物質を含む製品は、バリア機能のサポートが期待できます。
普通肌(目立ったトラブルなし)
大きな肌トラブルがない場合は、ローションタイプでの日常保湿で十分なことが多いです。入浴後の保湿を習慣にすることが大切です。
脂性肌(ベタつきが気になる)
生後2~3か月ごろまでの赤ちゃんは皮脂分泌が活発で、顔や頭皮がベタつくことがあります。この時期はさっぱりとしたローションタイプが使いやすいでしょう。ただし、皮脂が多い部位でも、頬や手足は乾燥していることがあるため、部位ごとに塗り分けることが大切です。
敏感肌・アトピー性皮膚炎の傾向がある肌
敏感な肌やアトピー性皮膚炎の傾向がある場合は、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
- 成分がシンプルな製品を選ぶ(無香料・無着色・アルコールフリー)
- まず腕の内側など目立たない部位で試し塗りをする
- 赤みやかゆみが増す場合はすぐに中止し、かかりつけ医に相談する
- 処方薬(ヘパリン類似物質製剤など)の使用も検討する
📋 エビデンス
アトピー性皮膚炎の治療において、保湿外用薬を中心としたスキンケアは、薬物療法・悪化因子の対策と並ぶ治療の3本柱のひとつとして位置づけられています。
出典: アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024 ↗季節別の選び方
春~夏(3月~8月)
気温と湿度が上がる季節は、さらっとしたローションタイプが使いやすくなります。ただし、エアコンの効いた室内では意外に乾燥するため、適宜塗り直しを行うことが大切です。汗による肌荒れも起きやすい季節なので、汗を拭いた後のこまめな保湿も心がけましょう。
秋~冬(9月~2月)
空気が乾燥する季節は、クリームタイプやワセリンなど、保湿力の高い製品が適しています。特に12月~2月の乾燥がもっとも厳しい時期は、「ローション → クリーム → ワセリン」の重ね塗りが有効な場合もあります。暖房による室内の乾燥対策として加湿器の使用も検討してみてください。
部位別の選び方
| 部位 | おすすめのタイプ | 理由 |
|---|---|---|
| 顔全体 | ローション・クリーム | 皮膚が薄く広範囲に塗る必要がある |
| 口周り | ワセリン | よだれや食事による刺激から肌を保護できる |
| 頬 | クリーム・ワセリン | 外気に触れて乾燥しやすい部位 |
| 体幹(おなか・背中) | ローション・クリーム | 広い範囲を効率的に塗れる |
| 腕・脚 | クリーム | 乾燥しやすく衣類との摩擦もある |
| 手足の甲・指先 | クリーム・ワセリン | 乾燥が出やすく、ひび割れ予防に |
| おしり(おむつ周り) | ワセリン | おむつかぶれの予防にバリア機能が有効 |
効果的な保湿剤の塗り方
保湿剤は「何を塗るか」と同じくらい「どう塗るか」が重要です。正しい塗り方を実践することで、保湿効果を高めることができます。
塗るタイミング
入浴後5分以内が理想的
入浴後は肌に水分が行き渡っている状態ですが、そのままにしておくと急速に水分が蒸発してしまいます。お風呂から上がったら、軽くタオルで水分を押さえ(ゴシゴシ拭かない)、5分以内に保湿剤を塗るのが効果的です。
入浴後以外にも、以下のタイミングでの塗り直しが推奨されます。
- 朝の着替えのとき
- おむつ替えのとき(おしり周り)
- よだれや食べこぼしを拭いた後(口周り・頬)
- 外出前(露出する部位)
- 乾燥が気になったとき
適切な量の目安
保湿剤は「たっぷり塗る」のが基本ですが、具体的な量の目安を知っておくと便利です。
FTU(フィンガーチップユニット)の考え方
FTU(Finger Tip Unit)は、保湿剤の使用量の目安としてよく使われる単位です。
- 1FTU = 大人の人差し指の先端から第一関節まで、チューブから出した量(約0.5g)
- 1FTUで大人の手のひら2枚分の面積に塗ることができます
赤ちゃんは体が小さいため、大人よりも少ない量になりますが、それでも「ティッシュが肌に貼りつく程度」「肌がテカっと光る程度」の量が目安です。塗った後に肌がすぐにサラサラになるようであれば、量が足りない可能性があります。
月齢別のおおまかな使用量の目安(クリーム・軟膏の場合)
| 月齢・年齢 | 全身1回あたりの目安量 |
|---|---|
| 新生児~6か月 | 約1~2g(2~4FTU程度) |
| 6か月~1歳 | 約2~3g(4~6FTU程度) |
| 1歳~3歳 | 約3~5g(6~10FTU程度) |
※ 上記はあくまで目安であり、体格や乾燥の程度によって調整してください。
塗り方のコツ
ステップ1: 手のひらに適量を取る
保湿剤を清潔な手のひらに適量取り、両手のひら全体になじませて温めます。人肌に温めることで伸びが良くなり、赤ちゃんが冷たさで驚くのを防げます。
ステップ2: やさしく広げる
肌の上にまんべんなく点置きし、手のひら全体を使ってやさしく広げます。このとき、以下のポイントを意識しましょう。
- 擦り込まない: 保湿剤は肌の表面に「のせる」イメージで塗ります。強く擦り込むと肌への刺激になります
- 皮膚のシワに沿って塗る: 腕や脚は長い方向(縦方向)にやさしくのばすと、シワの中まで行き渡りやすくなります
- 塗り残しに注意: 首のシワ、耳の後ろ、手首・足首のシワ、指の間、膝の裏、わきの下など、見落としがちな部位も丁寧に塗りましょう
ステップ3: 仕上げに全体をやさしく押さえる
最後に手のひら全体でやさしくハンドプレスすると、保湿剤がなじみやすくなります。
塗る順番(重ね塗りの場合)
複数のタイプを重ねて使う場合は、以下の順番が基本です。
- ローション(水分を補う)
- クリーム(水分と油分のバランスを補う)
- ワセリン(油膜で蓋をする)
処方薬(ステロイド外用薬など)がある場合の順番については、かかりつけ医の指示に従ってください。一般的には、保湿剤を先に全体に塗り、その上から処方薬を症状のある部位に塗ることが多いですが、処方内容や症状によって異なりますので、自己判断せずに確認するようにしましょう。
赤ちゃんのスキンケアの基本ステップ
保湿剤の効果を高めるためには、正しい洗い方とセットで考えることが大切です。
入浴時のポイント
- お湯の温度は38~39℃: 熱いお湯は皮脂を過度に洗い流し、肌の乾燥を悪化させます
- 低刺激のベビーソープを使う: 泡タイプのものが使いやすく、泡で出てくるタイプなら泡立ての手間が省けます
- 手のひらで洗う: ガーゼやスポンジは摩擦による刺激になりやすいため、手のひらでやさしく泡をなでるように洗います
- しっかりすすぐ: 石鹸の成分が肌に残ると刺激になるため、ぬるま湯でしっかり洗い流します
- タオルは押し当てるように: ゴシゴシ拭かず、やわらかいタオルで水分を押さえるように拭きます
入浴後のスキンケアフロー
入浴後は以下の手順で手早くケアを行いましょう。
- やわらかいタオルで水分をやさしく押さえる
- 保湿剤を手のひらに取り、人肌に温める
- 全身にまんべんなく塗布する
- 乾燥が強い部位にはワセリン等を重ねる
- おむつを履かせ、衣類を着せる
入浴直後の赤ちゃんは体が温まっていてよく動くため、手早く塗ることが求められます。保湿剤を事前に使いやすい場所に準備しておくとスムーズです。
処方薬の保湿剤と市販品の違い
代表的な処方保湿剤
小児科・皮膚科で処方される代表的な保湿外用薬には以下のものがあります。
| 一般名 | 代表的な商品名 | 剤型 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ヘパリン類似物質 | ヒルドイド | クリーム・ローション・ソフト軟膏・フォーム | 水分保持作用と血行促進作用。もっとも広く処方される保湿剤のひとつ |
| 白色ワセリン | プロペト | 軟膏 | 皮膚保護作用。シンプルな成分構成 |
| 尿素 | ウレパール・ケラチナミン | クリーム・ローション | 角質軟化・保湿作用。ただし乳幼児には刺激が強い場合がある |
処方薬の保湿剤は、有効成分の配合量が明確で、品質管理も厳格に行われています。保険適用で入手できるため、乾燥の強い赤ちゃんやアトピー性皮膚炎のお子さんは、かかりつけ医に相談するのが良いでしょう。
市販品との使い分け
市販の保湿剤も品質の良いものが数多くあり、日常のスキンケアに十分活用できます。「処方薬でないと意味がない」ということはなく、お子さんの肌に合ったものを継続的に使用することが何より大切です。
市販品を選ぶ際のチェックポイントをまとめておきます。
- 「赤ちゃん用」「ベビー用」と明記されているか: 成分設計が乳幼児向けに配慮されている製品を選ぶ
- パッチテスト済み・アレルギーテスト済みの表示: これがあると安心感があるが、すべての人にアレルギーが起こらないことを保証するものではない
- 無香料・無着色・アルコールフリー: 刺激のリスクを減らすためのひとつの目安
- 使用感が良いか: お子さんが嫌がらず、保護者も塗りやすいと感じる製品を選ぶことが、継続のコツ
小児科医が選ぶ 赤ちゃんの保湿剤おすすめ6選
ここでは、成分設計・使用感・コストパフォーマンス・口コミ評価の4軸から、赤ちゃんの日常保湿に適した市販保湿剤を6製品厳選しました。いずれも無香料・低刺激処方で新生児期から使用できる製品です。
上で解説した成分の知識を踏まえて、お子さんの肌質や季節に合ったものを選んでみてください。

ママ&キッズ ベビーミルキーローション
150ml | 約2,310円 | 新生児〜
産科専門医の監修のもと開発された、胎脂に近い成分「ベビーズエマルジョン」を採用したローション。セラミドと8種のアミノ酸を配合し、赤ちゃんの未熟なバリア機能を補う設計になっています。お母さんのお腹の中にいたときの肌環境を模倣するというコンセプトは、上で解説した「角層が薄くバリアが未熟」という赤ちゃんの肌特性を考えると科学的に理にかなったアプローチです。口コミでは「モチモチ肌になる」「べたつかずサラッとしている」と評判で、ポンプタイプで片手でも使いやすい点も、入浴後に赤ちゃんを抱えながら塗るシーンで重宝します。
選定理由: 胎脂類似成分による保湿設計が科学的に理にかなっており、セラミド+アミノ酸の組み合わせでバリア機能サポートと水分保持を両立しています。

ピジョン ベビーミルクローション うるおいプラス
300g | 約1,100円 | 0ヶ月〜
保湿成分としてセラミドNP・シアバター・グリチルリチン酸2K(消炎成分)をバランスよく配合。300gで約1,100円という圧倒的なコストパフォーマンスが最大の魅力で、上で解説した「たっぷり・こまめに塗る」を経済的な負担なく実践できます。ポンプ式の容器は衛生的で、お風呂上がりに片手で素早くプッシュできるのも実用的。口コミでも「べたつかず塗りやすい」「大容量で惜しみなく使える」と高評価です。セラミドNPはヒト型セラミドの一種で、角層の細胞間脂質を補いバリア機能をサポートする働きが期待できます。
選定理由: セラミドNP+消炎成分配合でありながら低価格。日常使いの保湿剤として十分な成分設計とコスパの両立が光ります。

アトピタ 保湿全身ミルキィローション
300ml | 約1,280円 | 新生児〜
乾燥肌・敏感肌・アトピー肌に特化した処方設計が特徴。保湿成分としてラノリン脂肪酸コレステリル(胎脂に近い成分)を採用し、赤ちゃんの肌本来のうるおいに近い保湿を目指しています。さらにヨモギエキス(肌荒れケア)とグリチルリチン酸2K(消炎成分)を配合しており、肌が荒れやすいお子さんへの配慮が行き届いています。伸びの良いミルクタイプで、口コミでは「新生児から安心して使える」「安いので惜しみなく全身に塗れる」と評判。コスパも良好で、1日2回以上の塗布を無理なく続けられます。
選定理由: 乾燥肌・敏感肌に特化した胎脂類似成分+消炎成分の処方。肌トラブルが出やすい赤ちゃんのファーストチョイスとして優秀です。

キュレル ローション
220ml | 約1,430円 | 赤ちゃん〜
花王が展開する乾燥性敏感肌ブランド「キュレル」のローション。今回紹介する6製品の中で唯一の医薬部外品であり、有効成分としてアラントイン(消炎剤)を配合。肌荒れを防ぎながら保湿するという明確な効能効果を謳うことができる製品です。独自の「セラミド機能成分」が角層の奥深くまで浸透し、外部刺激に負けにくい肌を目指します。皮膚科でも推奨されることが多く、口コミでは「保湿力がしっかりあるのにべたべたしない」「家族全員で使える」と、赤ちゃんだけでなく大人も一緒に使っているご家庭が多い印象です。
選定理由: 医薬部外品として消炎効果が認められた処方。セラミド機能成分+アラントインの組み合わせで、肌荒れしやすいお子さんに心強い選択肢です。

和光堂 ミルふわ ベビーミルキーローション
300ml | 約990円 | 新生児〜
育児用品の老舗・和光堂のベビー保湿ローション。セラミド3(保湿)・レシチン(肌なじみ)・ラフィノース(オリゴ糖系保湿)を配合した処方で、300mlで約990円という圧倒的な低価格が最大の特徴です。この記事で繰り返しお伝えしている「たっぷり・こまめに塗る」を実践するには、惜しみなく使える価格帯の製品が不可欠。口コミでは「サラッとして伸びが良い」「毎日たっぷり使える値段がうれしい」と、日常使いのしやすさが高く評価されています。保湿力はやや軽めなので、乾燥が強い時期にはクリームやワセリンとの重ね塗りがおすすめです。
選定理由: セラミド配合ながら最安クラスの価格。毎日の保湿習慣を経済面から支えてくれるコスパ最強のベビーローションです。

セタフィル ベビー デイリーローション
400ml | 約2,450円 | 新生児〜
世界50か国以上で展開される皮膚科学ブランド「セタフィル」のベビーライン。シアバター(高い保護力)・パンテノール(肌荒れケア)・トコフェロール(ビタミンE、抗酸化)を中心とした処方で、海外の皮膚科医からも広く推奨されているブランドの安心感があります。400mlの大容量でポンプ式なので、全身にたっぷり使えます。口コミでは「伸びがよく保湿力が優れている」「敏感肌の赤ちゃんでも安心して使えた」と評価が高く、特にしっかりとした保湿力を求めるご家庭に向いています。国内ブランドとは異なるアプローチの成分設計で、他の製品が合わなかった場合の選択肢としても有力です。
選定理由: 世界的な皮膚科学ブランドの実績。シアバター+パンテノールの保護・修復処方で、しっかり保湿したい場面に頼れる1本です。
よくある質問
Q1: 保湿剤は1日に何回塗ればいいですか?
基本的には、入浴後を含めて1日2回(朝と入浴後)が目安とされています。ただし、乾燥が強い場合やよだれ・食べこぼしで口周りの保湿が取れてしまう場合には、こまめな塗り直しが効果的です。アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024では、保湿外用薬は1日2回以上の塗布が推奨されています1。赤ちゃんの肌の状態を観察しながら、乾燥が気になるタイミングで追加塗布するのが良いでしょう。
Q2: 市販の保湿剤と病院の処方薬、どちらを使うべきですか?
どちらが優れているということではなく、お子さんの肌の状態に応じて使い分けるのがベストです。日常的な乾燥予防であれば市販の保湿剤で十分に対応できるケースも多いです。一方、乾燥が強い場合やアトピー性皮膚炎と診断されている場合は、かかりつけの小児科医や皮膚科医に相談し、処方薬の保湿剤を使用することも検討してみてください。大切なのは、お子さんの肌に合った保湿剤を「たっぷり・こまめに」使い続けることです。
Q3: 赤ちゃんにワセリンだけ塗っていれば大丈夫ですか?
ワセリンは皮膚表面に油膜を形成して水分の蒸発を防ぐ作用に優れていますが、肌に水分を補給する機能はありません。そのため、ワセリンだけでは不十分なケースもあります。特に乾燥が目立つ場合は、まずローションやクリームで水分を補い、その上からワセリンで蓋をする使い方が効果的と考えられています。ただし、肌の状態が良好で軽い保護だけで十分な場合は、ワセリン単独でも問題ないこともあります。お子さんの肌を観察しながら判断してみてください。
Q4: 保湿剤を塗ったら赤くなってしまいました。どうすればいいですか?
保湿剤を塗った部位が赤くなる場合は、まずその製品の使用を中止してください。保湿剤に含まれる成分が肌に合わなかった可能性や、接触性皮膚炎の可能性があります。赤みが続く場合やかゆみ・腫れが伴う場合は、かかりつけの小児科医や皮膚科医を受診しましょう。新しい保湿剤を試す際は、いきなり全身に塗るのではなく、腕の内側など目立たない部位に少量塗って様子を見る(パッチテスト)ことをおすすめします。
Q5: 生まれてすぐから保湿を始めたほうがいいですか?
新生児期からのスキンケア開始は広く推奨されており、国立成育医療研究センターの研究でも生後早期からの保湿の重要性が報告されています2。ただし、新生児の肌は特にデリケートであるため、成分がシンプルで低刺激な製品(白色ワセリンなど)から始めるのが安心です。新生児期特有の肌トラブル(新生児ざ瘡、脂漏性皮膚炎など)がある場合は、自己判断でケアするよりも、1か月健診や小児科受診の際に相談するのが良いでしょう。
まとめ
赤ちゃんの保湿剤選びのポイントを振り返ります。
- 🧴 保湿剤には4つのタイプ(ローション・クリーム・ワセリン・軟膏)があり、それぞれに長所と短所がある — 肌の状態や季節、部位に合わせて選ぶことが大切です
- 🔍 成分はシンプルなものを基本に — 無香料・無着色・アルコールフリーを目安とし、新しい製品は少量で試してから使い始めると安心です
- ✅ 「たっぷり・こまめに」が保湿ケアの基本 — 入浴後5分以内の塗布を習慣にし、1日2回以上を目安にしましょう
- 💡 塗り方が大切 — 擦り込まずにやさしくのせるように塗り、首のシワや耳の後ろなど塗り残しがちな部位にも丁寧に塗りましょう
- 🏥 迷ったら小児科医に相談を — 乾燥が強い場合やアトピー性皮膚炎の傾向がある場合は、かかりつけ医への相談がスキンケアの第一歩です
赤ちゃんの肌を守る保湿ケアは、特別なことではなく、日々の積み重ねです。お子さんの肌に合った保湿剤を見つけ、無理なく続けられる方法で実践していただければと思います。
医師確認済み
ラボの小児科医(小児科専門医・アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/4/27)
あわせて読みたい
参考文献
-
日本皮膚科学会・日本アレルギー学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/134/11/134_2741/_article/-char/ja/ ↩ ↩2 ↩3
-
Horimukai K, et al. Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol. 2014;134(4):824-830. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25282564/ ↩ ↩2
医師確認済み
ラボの小児科医(日本小児科学会 小児科専門医・日本アレルギー学会 アレルギー専門医)が「全文」を確認 (2026/4/27)
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赤ちゃんの日焼け止めの選び方ガイド|SPF・PA・成分の読み方から年齢別おすすめまで
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紫外線吸収剤と散乱剤の違いを小児科医が解説|子どもへの安全性と選び方
紫外線吸収剤(ケミカル)と散乱剤(ノンケミカル)の違い、子どもへの安全性について小児科専門医が解説。なぜ赤ちゃんにはノンケミカルが推奨される…

発達グレーゾーンと療育 — 診断がなくても受けられる、診断前から動ける話
「診断が出るまで療育は受けられない」は誤解です。通所受給者証は医師の意見書で取得でき、診断名は必須ではありません。小児科専門医が、診断待ちで…
ラボの小児科医
小児科専門医・アレルギー専門医
専門領域
「日々の外来で保護者から寄せられる疑問をもとに、ガイドラインと実臨床の両面から解説しています。」
小児科専門医・アレルギー専門医。二児の父。診療ガイドラインと論文に基づく医療解説と、親として本当に使ってよかった用品レビューを発信。
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